受験生だった頃、深夜ラジオを よく聞いた。
・オ-ルナイト・ニッポン
・パック・イン・ミュ-ジック
・歌のヘッドライト
たしか そんなタイトルの番組だったと思う。
当時、深夜ラジオを聴いてるのは 受験生か、長距離トラックの運転手…と相場は決まっているかの如く 視聴者からの投稿ハガキを中心に構成した番組か、延々と演歌が流れる番組が多かった。
「世界の中心で愛をさけぶ」の映画版、TV版双方にFMラジオの番組が重要なキ-・アイテムで登場する。
映画版のDJは 平野文(「うる星やつら」の ラム) TV版のDJは 渡辺美里
どちらも実際にDJをしている方で 80年代初頭にラジオを聴いていた者には どちらもそれだけでノスタルジィ-である。
「投稿したハガキが最後に読まれるとウォ-クマンが当たる…」
これまた、実に懐かしいフレ-ズである。
登校時の玄関で アキがサクに話しかける
「ねぇ 昨日のミュ-ジック・ウェ-ブ聴いた?」
というセリフは 当時の学生達には「おはよう」と同等の挨拶言葉だった。
私風に当て嵌めれば
「なぁ 昨日の”あのねのね”の オ-ルナイト聴いた?」
とか、
「夕べの”落合恵子”聴いたか?」
って感じである。
クラスの殆どが その番組を聴いており、そこで
「札幌の某高校 3年×組の ~君のハガキ…」
なんて読まれた時には 翌日には スタ-扱い。
「スゲェなぁ オマエ 夕べのラジオで読まれたべ」
なんて会話で包まれる。
中には「僕は ~さんが大好きです」と 投稿ハガキで告白する豪の者がいたり…。
ハガキを読まれた人には番組特製キ-ホルダ-が送られる。
モノに対する価値観の違い…と言ってしまえば それまでだが、実際に受け取ってみると確かに安っぽいモノだったりするから 深夜ラジオに興味の無いサクには ただのキ-ホルダ-にしか感じないかもしれない。
しかし、リスナ-には 「番組でハガキを読まれた」という名誉を表す勲章の様な「宝物」という 価値観を持つ者もいる。
さりげなく 机の上に置いて見せびらかしたりするぐらい とてつもない「宝物」という具合にだ。
傘をさしかけてくれた御礼と言って アキがそのキ-ホルダ-をサクに渡すシ-ンは
「宝物」をプレゼントしてもいいぐらい 好きな相手」
つまり、
「遠回しの告白」
とも 受け取れる。(そこで気づけよ サク)
学生生活とラジオは それだけ密接だったとも言えるわけで、その頃、聴いた番組では その頃、流行っていた曲が 当然の様に よくリクエストされていたから ラジオで流れる音楽が 気づかぬうちに その時代の記憶のBGMとなっている。
時が流れ、10数年後に車を運転しながら聴いていたラジオから 不意にその頃の音楽が流れてくるのを聴くと 突然、当時の いろんな記憶が蘇り、楽しくなったり、せつなくなったりする。
「世界の中心で愛をさけぶ」を観て 深い感銘を受ける世代は圧倒的に20代後半から40代の世代なんだそうだが、それはドラマの時代設定の反映と考えれば当然の事であろう。
佐野元春や渡辺美里の曲には 私も個人的に思い出す記憶がある。
渡辺美里の「love’in You」が 突然、ラジオから流れると 私は条件反射、パブロフの犬状態で 目頭が熱くなる。
TV版「世界の中心で愛をさけぶ」の第1話を観て 私が せつない気持ちで一杯になったのは 17年前の設定の映像が 文字通り、私にとっての回想シ-ンとオ-バ-・ラップしたからである。
どうでも良い話だが、ウチの奥さんは 私と高校の同級生だ。
恋愛時代も含めると 20年以上つき合っており、言わば アキとサクの20数年後バ-ジョンみたいなものである。
奥さんにも アキみたいな頃は 確かにあった…。
「好きだよ、大好きだよ」
そう言ってくれた時期があった…。
しかし、それを「あった…」と過去形でしか話せないのが とても…、とっても切なく思った。