夜中、家を抜け出し 彼女の家に行き、彼女の部屋の窓に 小石を投げる
カッン?!
その音に気づいた彼女が窓を開け 外にいる僕に気づく…
「どうしたの? こんな時間に」
「いや、なんかさ 逢いたくて…」
「…」
「ちょっと待ってね 今、そこ 行くから」
携帯もポケベルも無い時代、そういう風なスタイルは ごく一般的だった。
ホントは堂々と電話をかけて
「~ですが、~さん おられますか?」
と、したいのだが、電話をする時間帯が 彼女の父親が在宅する時間帯だと 間違って
「親父さんが出たら どうしよう…」
と、ビビる。
実際に そういう経験をした事がある。
彼女の父「はい ~です」
僕「あの、すいません ブタネコですが、~さんおられますか?」
彼女の父「おう、ブタネコかぁ、 で? 娘に 何の用?」
僕「え? あ、いや…」
彼女の父「重要な ご用件ですか?」
僕「い・いえ 特に重要というわけでは…」
彼女の父「そうですか では失礼します。 ガチャッ ツ-・ツ-・ツ-…」
彼女の父親は とても怖く、厳しい人だった。
だから、時間帯が もっと遅くなってしまうと
「何時だと思ってるの?」
等と ツッコまれそうで 怖くて電話できなかったのだ。
だから、彼女の部屋の窓に小石を投げる。
「世界の中心で愛を叫ぶ」の第2話を観ていて 自分の その記憶が蘇った。
ちょうど、アキが 自ら窓から出てくるのと遭遇するから サクは 窓に小石は投げない。
もし、アキが窓から出てこなければ 小石を投げたのかな?
いや、窓の明かりが消えているのを見て「もう寝たんだな」と思い 帰るのか…
いずれにせよ 夜中、外出の途中で たまたまにでも彼女の家の前を通ると つい、彼女の部屋に視線を向けてしまうのは よくある事だよね。
なんか懐かしく、微笑ましい。
私は 小石を投げたつもりが、何かが間違っていたらしく、夜中の1時に 彼女の部屋の窓を割ってしまった事がある。
予想外の轟音で ガシャ-ンと窓ガラスが砕け、その音に 一瞬、呆然としつつも 慌てて逃げた。
翌日、学校に行くと 彼女は苦笑い。
「ゆうべ、ガラス割ったのアンタでしょ?」
「ごめん 割れると思わなかった」
「お父さん 凄い勢いで飛んできて カンカンだった」
「やっぱり?」
「うん 逃げて正解、捕まってたら絶対 ボコボコだったよ」
「やべぇ…」
「でもね お母さんは気づいてたみたい」
「え?」
「今朝、”ガラス割る程 好かれてんだね…”って 笑ってた」
放課後、僕は 彼女の家に行き、彼女のお母さんに謝った。
「仕方無いわね…」
と 苦笑いをしつつも、
「今度からは 違う方法にしてね」
と しっかりクギも刺された。
で、いろいろと考えた結果 彼女の部屋の窓の手すりに 風鈴をぶら下げ、長いヒモをつけて「呼び鈴」の様にしてみた。
その方法は 初めの何回かは上手くいった。
しかし、いつのまにか 不意に鳴る風鈴に気づいたのであろう
風鈴のヒモを引っ張る 僕の背後に彼女の父親が現れ、
「何 コソコソやってんだ?」
と 低音で話しかけられた時は 貞子(映画「リング」より引用)がブレイクダンスしながら近寄ってくるのより怖かった。
その後…
その彼女は 私の妻となり、娘が出来た。
彼女の父は 義父となり、時々 酔っぱらっては孫娘に
「オマエのオヤジはなぁ…」
と、その頃の話を楽しそうに話す。
娘の携帯は 始終、チャラチャラ着信音を発し、その度に「男からか?」と聞く私がいる。
まったく、便利な時代になったものだ。
携帯電話のおかげで 様々な事が簡単になり、それを人は「便利」という。
しかし、好きな女の子と話をする… たったそれだけの事に 私の世代は いろんな配慮や苦労を知らず知らずのうちにとはいえ行ったのだ。
それは 女の子と話をする… という事にだけでは無く、いろんな人間関係に対する配慮…という意味で自然と身に付いたマナ-なのではなかろうか?
物事が便利になる反面 そういう誰かに教えて貰う事ではない、自分で自然に身につけていくべき事を学ぶ機会が減っているんじゃなかろうか?
そんな事を思ったり、こうやって語っている時点で「オッサン」になってしまったんだな…と 苦笑する。
いつか私は 娘の彼氏に 私が義父から味わったのと同じ恐怖を与えてやりたいと燃えている。
初めまして。私もSOCOMプレイヤーでして、コラムを参考にさせていただいていました。もうすぐ終了とは悲しいですよね。
私はブタネコさんの娘さんぐらいの年にけっこう近いです。
携帯がある今の時代の恋愛事情は、ほんとに昔とは様変わりしたんだろうなぁ、と思うときがあります。
けれども恋愛自体の難しさは簡単になるわけでもなく、携帯の登場のせいで、より複雑さを増したのかもしれないですね。
私の高校生時代は、まだ携帯が今ほど普及していませんでした。友人が好きな子の家の電話に、「頼む、親父は出ないでくれ!」と悲壮な顔で死ぬほど気合を入れながらコールをしていたのが懐かしく思えます。
コメントありがとうございます。
確かに携帯があれば あるなりの苦労もあるでしょう…^^;
>悲壮な顔で死ぬほど気合を入れながら…
判ります。 私が そうでしたから^^;