最近、現実逃避をしてしまう人が増えていると言う。
かくいう私も その一人である。
SOCOMというオンラインゲ-ムで 日頃の鬱憤を晴らす日々を送り続けた日々もあったし、TV版「世界の中心で愛をさけぶ」DVDを繰り返し何度も見て 広瀬亜紀という少女の喪失感に涙し続けていたりもする。
しかし、私も日々の暮らしを賄うための稼ぎは ちゃんとあげなければならない。現実逃避と稼ぐ事は両立しないからだ。
生きていくためには 現実に立ち向かう時間も必要なのである。
まぁ、真面目な話はおいといて…
SOCOMというソフトは 日本でのオンラインサ-ビスは終了したが、北米版や韓国版は いまでも ちゃんと稼働していて、日本の多くのSOCOMファンは そちらに戦場を移して戦っているという。
以前、初期のSOCOMをプレイしていた時に 北米版では既にSOCOM2が稼働しており、そのSOCOM2を味わいたくて友人の所に何度も遊びに行った事がある。
彼は 北米版のPS2の本体を持ち、SOCOM2のソフトも所有しており、日本にいながらにして、北米版のサ-バ-で遊ぶ事が可能なのだ。
彼自身は 実を言うと、SOCOM2というソフトには あまり、興味を持っていない。
にも関わらず、そんな設備を 何故、持っているのかというと とある国立大学で とある理工学系の研究室を主宰する職にあり、職業上 それが必要だからである。
私に言わせれば、そんな彼が そんな設備を持つのは猫に小判の様なものと思い、時々 有効活用をするために彼に会う…というより、北米版PS2に会いに行く。
さて、そんな彼の研究室には 助手とか研究員という名の大学院生とかが いつも小難しい顔をして機械相手にブツブツと独り言を呟いている。
私は そんな彼等を手なずけるために、いつも その研究室を訪れるときには 両手に食料をぶら下げ
「ほい、差し入れ みんなで食べて」
と持っていく。
いつの時代も そういう若者は食べ物に飢えている。
彼等に無償の食料を提供すれば 隅っこで私がPS2で遊んでいても 誰も文句を言わない。
むしろ、食料さえ持ってきてくれるなら 毎日でも来て下さい…状態で放置してくれる。
私も そうだったが、食費を削って趣味につぎ込んでしまうのは いつの世でも若者の姿なのだ。
しかも、彼等は 極めてマニアックな理工系である 最近の表現を用いるならば「アキバ系」そのものである。
微積分の演算をやらせても早いけど、
「最近 ***のCMで ***っぽいカッコで出てる女の子 カワイイね」
なんて言えば
「それは ***ちゃんて子で ***プロダクションに所属の 17才です。 ***ってドラマや ***にも出演していて…」
googleやYAHOOの検索なんか問題にならないぐらい アニメやアイドルの事であれば 細かい情報までを瞬時に喋り出す。
彼等は 自分の興味のある事は とことん調べ上げ、もの凄くディ-プな情報を手に入れている割に、自分の興味を引かない事には まったく無関心である。
だから、私のように広く浅い人間とは ある意味、好対照ではあるが、彼等は 常にアンテナを張り巡らし 情報に飢えているところがあるから、私のような人間との会話の中に 新鮮な興味を引くモノが埋まっていないかと意識している。
前回、1月の中頃に その研究室を訪れた私はTV版「世界の中心で愛をさけぶ」に ドップリとハマっている時だった。
ところが、何故か その研究室に屯っている若者達は「映画は観ましたが…」というのが数人だけで 誰一人としてTV版を観ている者がいなかった。
激怒した私は 彼等を集めて教育的指導を行った。
「オマエ等な 毎日が機械やコンピュ-タ-ばかりを相手にして 人の心ってものを無くしたな? そんなんで立派な研究と言えるのか? オマエ達の研究は やがては人の為にならなきゃならんのに 人の心を失った奴の研究が 人の為になると思えるか? あ~情けない。 今ならまだ遅くない、TV版セカチュ-観て 魂を取り戻せ、おい、そこのオマエ、エントロピ-が どうのこうのなんて言ってないでセカチュ-観ろ! ほら、オマエ、社会学的統計用演算なんとか理論のソフト化なんて研究なんか止めちゃえ、情報工学で白血病を克服する研究に切り替えろ」
なんて無茶苦茶な事を言ったものだ。
まぁ、私自身 帰る段になって 少し暴論を吐きすぎたな…と 自己嫌悪だった事もあり しばらく、その研究室に行きづらかったのだが、ある事情で自宅に居づらい事もあって 1ヶ月ぶりに その研究室に行ってみた。
すると…、研究員達が 私の顔を見るなり「待ってました」とばかりに近寄ってくる。
「じ・自分、セカチュ-観たっス!」
「僕も 観ました」
「あんな素晴らしいドラマを 指摘されなかったら 観ずに過ごすとこでした」
「ホント、ありがとうございました!」
若者達は 口々に そう言う。
気のせいか 目が潤んでいる奴まで居る。
「そうか… 良かったな、人の心を取り戻したのか? そりゃ良かったな」
「ホント、いろんな事 考えさせられたっス!」
「深いですねぇ セカチュ-は ホント深いっス!」
みんな良い若者ばかりである。 純粋である。
私も思わず、貰い泣きしそうになる…、しかし…
どうして アキバ系の奴って ハマると深いトコ 行っちゃうの?
「実は 最近、みんなで討論してるんですけど なかなか結論が出ない問題が多いんです」
聞きもしないのに そんな事を喋り始める。
「何故、17年間 サクは骨を持ち続けたんでしょうか? で、何故、17年目に骨を撒けたんでしょうか?」
「そりゃ、亜紀とサクが一緒に生きていたのが17年だから 17年がひとつの単位になったんだろ」
そのうち 会話は どんどんマニアックになっていく
「何故、救急車がスピンタ-ンしたり、それに亜紀の両親が乗っていたんしょうか?」
「アホかオマエは そんな些細な事に拘って どうするの? もっと大局を見ろ、アキが倒れる…って事は それほどショッキングであり、重傷だったという心理的描写のひとつだろが」
「アキとサクは 夢島で ヤッちゃったんでしょうか?」
「大きな御世話だボケ! だいたいな、白血病の発作ってのは基本的に貧血が引き金になる事が多いんだよ、女の子が貧血になりやいタイミングってのがあるだろ? ほら周期的なヤツ… そんな事は 男なら察して黙っててやれ」
気がつけば アキバ系達が 黙って感心したように私を見つめている。
「さすがっス、深いっス、気が付かなかったっス… やっぱ、凄いっス…」
褒められれば褒められるほど「オマエもアキバ系だ」と言われている様で凹んだ。
その研究室の主催者である友人が 私と若者達の会話を眺めた後、
「オマエ 凄いな。 俺は学問的に あいつ等を説き伏せる事は出来ても、雑学的に 説き伏せる事なんて出来ないぞ…」
と、感心していた。
しかし、彼等と話して 私も ひとつ判った事がある。
「世界の中心で愛をさけぶ」を見る事で 涙もろくなったり、セカチュ-が常に頭から離れず 哲学めいた事を考えたり、喋ったりする 私みたいな輩が 世の中には増えたそうである。
それは ある意味、良い事だとは思うけど、度が過ぎるのは褒められる事では無い。
しかし、どこまでが良くて どこからが度が過ぎるのか それを明確にする境界線など無いから、いつのまにか度が過ぎた事に気づけずにいる人がいる。
そう言う人の事を「セカチュ-症候群」という病にかかった患者だと評する人もいる。
で、「セカチュ-症候群」を 手っ取り早く直す秘訣は 身近な誰かを「セカチュ-症候群」にしてしまえばいい…というのが 判った結論なのである。
風邪も「他人にうつせば治る」という話がある。 それと同じだ。
身近な誰かを「セカチュ-症候群」にしてしまえば いつのまにか自分の症状は軽くなる。
研究員達と話す事で 少し、私は気が軽くなった様に感じる。
しかし、今日の彼等の姿を思うと あのアキバ系研究員達は ますます「セカチュ-症候群」のドツボにハマると思う。
それだけに、その研究室には しばらく行かないようにしよう… そう思った。
今さらながら、僕もセカチューについて
考え直してみました
いやぁー、いいじゃないっすか
症候群
面白い
コメントありがとうございます。
なんだかんだ言って 私の「症候群」は慢性です^^;
だから、ホントは他人の事を言えた義理じゃないんです。
今後も、気楽にコメント頂けるとありがたいです。