喫茶「職安(通称)」の常連客の一人に ススキノの中心部でビルのテナントとしてでは無く、一軒家の店舗として寿司屋を経営する親方 K(仮名)氏がいた。
K氏は 独力で小僧奉公から寿司職人の修行を積み、結婚相手の実家が資産家だった事もあって 若くしてススキノに居を構え、その当時、歳は既に60近く 奥さんは病没し、3人の子供は既に成人していたが 誰も後を継がずにサラリ-マンとなり3人とも関東圏で生活していたので 直弟子のSさんと二人で店を切り盛りしていた。
このK鮨は 当時としては とても変わった店で、小上がり風の6畳の座敷が4つあるだけで 寿司屋特有のカウンタ-は無く、接待とか 密会の客専門の寿司屋として売り上げの半分 残りの半分は 全部、出前という店だった。
しかも、その出前先が ススキノらしいと言えばそれまでだが、雑居ビルのスナック、ビジネスホテル、それと ソ-プランド(当時はト●コ風呂と呼ばれていたが…)の休憩室への配達が殆どだった。
ある年の暮れの事、そのK親方が 私に言った。
「年末は 出前がもの凄く入ってかき入れ時なんだ…
夜中の出前配達のバイトしてくれないか?」
聞けば 時給1000円(当時の我々の相場は300円前後だった。) それに、
「いつでも腹が空けば 好きなだけ寿司を食わしてやる」
これは 食べ盛りだった私には もの凄く嬉しい条件だった。
基本的には 青少年に対する労働基準法違反である。
当時、高校生だった私が 午前0時過ぎ 下手すると4時半近くまで働くのである。
しかし、そんなのは 働く私がウンと言えばいいだけの話し、私は 飛びつくように応じたのだが…
さすがに好条件の理由が 実際にやってみて身に染みた。
スナックから出前の注文が入る… これは、普通に配達に行って代金を貰えば済む。
特定の契約をしているビジネスホテルから ル-ム・サ-ビスとして受けた注文の配達も然り。
ところがだ、当時 ススキノ最大と言われたゲイ・バ-からの注文が熾烈だった。
当時、野球部に席を置いていた私は 丸刈り頭だったのだが、寿司屋の格好で おかもちを下げて
「毎度 K鮨で~す」
と店に飛び込んだ瞬間
「あら 丸刈りクンよぉ~」
「あらぁ 私、タイプなのぉ~ 弱いのよ」
飛んでくるのは 黄色い声ならぬ 黄土色のダミ声。
そりゃそうだ、そこにいるのはオカマばかりなのだから。
純真な少年だった私を掴まえ、無理矢理 化粧させ、身ぐるみを剥がされてセ-ラ-服を着せられ 誰が見てもヅラと判る三つ編みのヅラ まるで「魔法使いサリ-ちゃん」に出てくる「よしこちゃん」姿にさせられ
「その格好で 店に戻って
あと、特上3人前と 鉄火巻きを2人前 追加で持って来て頂戴!
じゃないと 代金払わないし、服も返してあげないわよ」
どう見ても「アンタ 元自衛隊でしょ?」と聞きたくなるぐらい筋骨隆々としたマッチョなボディのクセに シ-スル-のネグリジェ姿のオカマに言われ 渋々、その格好で来た途を K鮨に戻る。
K親方も そんな私の姿を見て、腹を抱えて笑い
「仕方無ぇなぁ あの店は…
どうせオカマばかりなんだから
オマエも気にしないで暴れてきてもいいんだぞ」
そう言って、追加の寿司を握ってくれる。
一晩の間に K鮨と そのオカマ・バ-の間を 何度、往復した事か…
その度毎に、毎回 身ぐるみを剥がされて、全身タイツを着せられたり、ピエロの格好をさせられたり… さすがに、往復の度に顔を合わせるポン引き達は
「お? 今度はトナカイの格好か? クリスマスらしいなぁ…」
と笑って声をかけてくる。
そうなると、私も 本来、ウケ狙いが大好きな本性が顔を出し、終いにはヤケクソでオカマ・バ-で 当時、最新と言われた8トラックのカラオケを使い、唄ったり踊ったり…
セ-ラ-服姿で 夜の賑わったススキノの通りを歩くのは恥ずかしく辛かったが、それ以外は 楽しんでいる私がいた。
しかし、出前の配達先は そのオカマ・バ-だけでは無い。
もうひとつの お得意先は ソ-プ・ランドの休憩室である。
ソ-プのお姉さん達が仕事の合間に休憩する間の食事として出前を取る… それを配達するのである。
たいていのソ-プには お客が入る表の入り口の他に 従業員専用の裏口がある。
寿司屋の出前は 無条件で裏口通過が許され、勝手に休憩室に入って行っても構わない…というか ソープ側から そうしろと言われ…
そうやって入った休憩室には いつも数人のお姉さんが 大抵は全裸の上にバスロ-ブ一枚 もしくは下はパンツだけで 上は裸という状態でソファに座り、TVを見ながらタバコを吸っている。
そこは純真な私には とても刺激の強い場所だったが、ある意味、バイト料以外の役得でもある。
ところが…だ、普通に寿司屋の出前の姿をしている時なら 何でもない。
オカマ・バ-で弄られている最中だと 私は そこにセ-ラ-服や 全身タイツ姿で行かねばならないのだ… これは とても苦痛だった。
パンツ一枚のお姉さんに
「アンタ その格好 どうしたの?」
「実は… オカマ・バ-で身ぐるみ剥がされて…」
私の話す事情を聞きながら お姉さん達は笑い転げる。
「なに? アンタ… オカマにイタズラされてんの?」
笑い転げるのはいいのだが…、お姉さん ガウンの下 真っ裸だから転がると
具が見えます。
全身タイツだと 私のモッコリ具合が…
それ見て お姉さん達は また笑い転げて…
地獄だった。(ToT)
おそらくは 私の持って産まれた「人徳」のおかげだと思うのだが…
年末だけの約束だったK鮨のアルバイトは その後、
「いつでも好きな時に来い」
と K親方から言われるまでになった。
それは オカマ・バ-や 数件のソ-プから
「あのバイト君 どうしてる?」
という問い合わせが 沢山、寄せられたせいである。
それから しばらくの間、バイトでは無く、ただ ススキノの通りを歩いていても 配達先のお客さん達に顔を覚えられたせいで
「ブタネコちゃん 早いわねぇ~」
と 道で声をかけられ 一躍、人気者になったと錯覚して有頂天だった私がいた。
ただ、そのおかげで困った事がひとつ。
ススキノの中心部に 今でもあるが、東宝系の大きな映画館がある。
その当時、付き合っていた彼女(それが 今の嫁)と その映画館に行く事だけは出来なかったのだ。
だって、たとえ昼間であっても オカマやソ-プ嬢達と遭遇する可能性は大なのである。
間違っても そんな姿を彼女に見せる訳にはいかない… そう思ったのだ。
ところがね、そんな心配は必要無かった。
「息子がバイトしているお寿司屋さんで みんなで食事をしよう」
そう私の父が言い出したらしく 私の両親、妹、それに仲良しで同僚で近所づきあいだった彼女の家族が一同で 私がバイトしているK鮨に現れたのである。
それを知らず、その時 運悪く、オカマ・バ-に出前に行っていた私は いつも同様、オカマ・バ-で身ぐるみを剥がされ、パンツ一枚の上に スケスケのネグリジェ一枚の格好にさせられ K鮨に追加の出前を取りに戻されたとこだった。
K鮨の店内で そんな格好で戻った私を見た一同は…(書ケマセン(ToT))
翌日、私は怒った父親に頭を剃られた。
しかし、父は怒りながらも
「社会勉強だ… 行って来い」
と、バイトを辞めさせたりはしなかった。
(その代わり、毎月の小遣いは その月を最後に打ち切られた(ToT))
彼女は怒って その後、しばらく口をきいてくれなかった。
その晩、丸剃り頭でバイトに行った私に K寿司の親方は 状況を話すと時給を その日から1500円にしてくれた。
そして、いつも通りにオカマ・バ-に配達に行った私の丸剃り頭を見て テンションの上がったオカマ達は 私の頭のテッペンに油性マジックで「ハゲ」と書き 後頭部に「へのへのもへじ」を書きやがった(ToT)
その晩、出前に行った先々で 私の好感度はウナギ上りだった事は言うまでも無い。
(≧∇≦)/ひゃっはっはっはっは~
お爺さんの記事みて、幌っと涙したら、今度は大笑いっすか~(・∀・)
いや~ストレス発散、健康にいいですよ~。
若手芸人以上の事やってきたんですね~。
人間が練れてるはずだ(*`▽´*)
人受け最高にいいんじゃないですか~?
>Wen さん
お楽しみ頂けているようで 嬉しいです^^
人受けは良い方だと自認しております。^^;
ただし、憎悪される敵も多いです(ToT)