2005年07月08日

●ブタネコ的 17年の考察(1)


TV版「世界の中心で愛をさけぶ」を DVDで少なくとも2回観ろ… と、これまで 何度も このブログ内のいくつかの記事で述べてきた。




既に「セカチュ-症候群」を患っている方には その理由を説明せずとも 充分に身を以て その理由が身に染みているに違い無い。


しかし、


「DVDのレンタル代って 結構、バカにならないんですよねぇ…」


とか、


「緒形直人のヨレヨレぶりがねぇ… 今ひとつ理解出来なくて…」


なんて事を のたまう輩がいる事に 個人的には憐れみというか哀しさが増すばかりである。


今回は、何故 2回観る事を薦めるのか、あえて その理由のひとつを語ってみたい。




TV版「世界の中心で愛をさけぶ」第4話冒頭とラストで 宮浦に戻った17年後のサクは谷田部先生と再会する。


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その後、二人は高校のグランドの片隅で並んで腰を下ろし会話する。


谷田部「広瀬は?」


サク「なんですか急に?」


谷田部「まだ一緒なんでしょ? グランドを見せてやりなさいよ…」


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サクはポケットから 亜紀の遺灰が入った瓶を出す。


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「 中 略 」



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サク「ずっと一人で やっていこうと思ってたんです。

   毎日忙しくしてれば人生なんてあっという間だって…

   で、気づいたら17年で…」


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谷田部「もう?」


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サク「まだ…、まだなんです。

   死ぬまでに あと何回17年あるんだろうって…

   ありもしない現実に期待して…

   夢から覚めると泣いていて…

   あと何万回、僕はこんな朝を迎えるんだろうって…

   もう無理だと思ったんです。」


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谷田部「12秒91だったね。

    廣瀬のベスト・タイム…

    ストップウォッチそのまま返すんだもん…。


    忘れなさい松本

    あんたたちのことは 私が覚えてるから

    安心して忘れなさい


    もう一度、誰かを乗せて走りなさい」


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このシ-ンは 何度、観ても 私の涙腺が決壊するシ-ンである。


しかし、正直に言うが 最初に このシ-ンを観た時は 良いシ-ンだなぁ…とホロッとしたが、大泣き…という訳では無かった。


しかし、二度目からは駄目だ。


この場面になると もうボロボロに泣いてしまう。


それは何故か?


それは、このシ-ンこそが 朔太郎の17年間の辛さが如実に現れるシ-ンだからである。


そして、二度目以降だからこそ その辛さの重みが違って感じるのだ。


これには 今だから理解出来る、演出者と脚本の伏線の罠のせいである。


第11話、亜紀の死後 谷田部とサクが会話するシ-ンが それである。


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谷田部「ちゃんと送ってあげられた? 廣瀬…」


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サク「これが亜紀になったと思うと出来なくて…

   これが亜紀だと思うと出来なくて…

   でも、ずっと持ってようかなって…」


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谷田部「忘れないように? 廣瀬といた事を…」


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サク「亜紀が死んだ事を…」


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サク「先生、俺 医者になろうかなって…」


谷田部「えっ?」


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サク「やっぱり、無理ですかね…」


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谷田部「人を救う仕事でもあるけど、看取る場所でもあるのよ?」


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サク「俺、結局、亜紀に何もできなかった気がするんです…」




この第11話と 先に述べた第4話は 映像の放映順と 時系列が逆である。


亜紀の死後、間もなくのサクが 第11話のシ-ンであり、17年後のサクが 第4話なのである。


その点を よく留意して見直してみて頂きたい。


第11話(亜紀の死後、間もなくのサク)は サクは亜紀の遺灰の入った小瓶を


「亜紀が死んだ事を…」


忘れないために持ち続けると言う。


そして、


「俺、結局、亜紀に何もできなかった気がするんです…」


という理由で医者を目指すと言う。


その後、サクは医者となり17年が経過して 第4話のシ-ンとなる。


サク「ずっと一人で やっていこうと思ってたんです。

   毎日忙しくしてれば人生なんてあっという間だって…

   で、気づいたら17年で…」


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谷田部「もう?」


画像


サク「まだ…、まだなんです。

   死ぬまでに あと何回17年あるんだろうって…

   ありもしない現実に期待して…

   夢から覚めると泣いていて…

   あと何万回、僕はこんな朝を迎えるんだろうって…

   もう無理だと思ったんです。」


御理解頂けたであろうか?


17年間、「亜紀が死んだ事を…」認める事が出来ず、「亜紀に何もできなかった…」と悔やみ続ける姿 そのものなのである。


11話のシ-ンを観る前の 第4話と 観た後の 第4話では 映像から伝わる実感がまるで違うのだ。


そして、もうひとつ ここで あえて指摘するために 先に挙げた 第4話と第11話のシ-ンの画像を見比べて頂きたい。


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『第4話』(17年後)

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『第11話』(17年前)


ほぼ同じ グランドの片隅で 17年の前と後、双方とも年齢的に相貌は変わっているが、あえて似たような配置とカット割りでシ-ンが構成されている。


そこに演出的な そして脚本的な 罠の様な伏線を感じるのである。


ただ、罠…と言ったが、私は この手法を心の底から歓迎すると同時に、こういう丁寧な画像作りをする制作者の魂を賞賛したいと思う。


こういう細やかな配慮が 同じ40数分の他のドラマには無い 深い感動を得る事が出来た大きな要因だと思うのである。


しかも、この二つのシ-ンに込められた罠は ここだけでは終わらない。


最終的には 物語全体の終盤に、17年後の サクと亜紀父が交わす会話にも影響を与えるのである。


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(アキ父)「よく頑張ったな… サク、

      生死を扱う仕事は辛かっただろう

      もう充分だ、ありがとう」


画像


おそらく、この亜紀父の一言で サクの心は17年間の呪縛から解放される。


その開放感の大きさは 17年の重みを どれだけ重く感じているかで大きく変わる。


2回目に 第4話の17年後のサクの姿に 辛さの重みが増した分、2回目に観る この第11話の亜紀父の台詞は 何倍にも増して胸に迫るのである。


なんとなく…なんだけど、これは 演出家が堤幸彦だったからこそ 成し得た技だと私は思う。


堤幸彦という演出家は 視聴者にとって 誠にありがたいサ-ビス精神旺盛な演出家で、彼が手がけた作品の多くは 何度も見直せば 見直すだけ味のある伏線を ふんだんに散りばめる演出家なのである。


特に近年は「トリック」を観れば判るように、放映終了後 DVD化される事さえも視野に入れた様な映像構成をする。


だから、このTV版「世界の中心で愛をさけぶ」も ただ、TVの放映をリアルタイムで観た…だけ というのは非常にもったいない話であり、局の都合でカット編集した再放送を観ても意味が無いのである。




記述者:ブタネコ | 掲載日時:2005年07月08日 00:30 このエントリをlivedoorクリップに追加 このエントリーのlivedoorクリップ被リンク数 このエントリーを含むはてなブックマーク このエントリーのはてなブックマーク被リンク数
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コメント

第3話冒頭での、明希と朔母の会話の所でも私は涙腺ダム決壊してしまいます。

朔母の「私あの子がずっと一人だと思ってたから」のセリフでもありますが。
朔の事をずっと案じ続けた親心を感じてしまうと、どうも何回見ても駄目ですね~。

谷田部先生にしろ、亜紀父にしても、みんなそれぞれの17年間があり、悩み葛藤してきたのだろうと思うと・・・
残された物の気持ちって、なんともいえないものがあります。

コメント by wenfang | コメント受信日時 : 2005年07月08日 00:53

ブタネコ様 お世話になっております。はじめて書き込みます。

そうだ、そうだ・・・と思いつつ読みました


ところで
11話
サク「これが亜紀になったと思うと出来なくて…   」

のところは

「これが亜紀だと思うと出来なくて…」

ではないですか?

(この書き込みは消してください)

コメント by とさっこ | コメント受信日時 : 2005年07月08日 00:57

>wenfang さん

まぁ、たまには しんみりと己を見つめるのも
いいかな…なんて^^;

私の最近の場合、「世界の…」を観ると 嫌でも己を振り返って
しまいますが…^^;


>とさっこ さん

御指摘ありがとうございました^^
(決して嫌味なんかじゃなく…^^;)

どうも、タイプしながら泣いてたもんで
最近は 誤字脱字がやたら多くて凹んでます^^

「(この書き込みは消してください)」

嫌です^^(キッパリ)

せっかくの初書き込みですから記念に取っておきましょう^^

今後も どうか御気軽にコメント頂けますと幸いです。

コメント by ブタネコ | コメント受信日時 : 2005年07月08日 01:12

ブタネコさーん・・・^^;;
takuのお株を奪いましたね?( ̄ー ̄)ニヤリ

コメント by taku | コメント受信日時 : 2005年07月08日 02:47

「セカチュー2話で質問」にすごいヒントを書いていただいてありがとうございました。


>せっかくの初書き込みですから記念に取っておきましょう^^

はい、わかりました。
私の方はぜんぜんかまわないです。

でも、上の方の、本文の訂正線は、初めて読む人が意味不明で本筋に入り込めなかったら申し訳ないので、私に気を使わないで、ばっさり消してくださっても・・・・。

コメント by とさっこ | コメント受信日時 : 2005年07月08日 03:58

>taku さん

『takuのお株を奪いましたね?( ̄ー ̄)ニヤリ』


だって takuさん フォロ-してくれないんだもん。^^;


>とさっこ さん


『本文の訂正線は、初めて読む人が意味不明で本筋に入り込めなかったら申し訳ないので、私に気を使わないで、ばっさり消してくださっても・・・・。』


いいんです。

だって takuさん フォロ-してくれないんだもん。^^;
(しつこいか^^ いや、理由になってないか…^^;)


コメント by ブタネコ | コメント受信日時 : 2005年07月08日 13:25

今晩は、ブタネコさんおじゃまします。

ブタネコさんの記事(今回はtakuさん風味ですね)を読んでいて改めて気が付いたのですが、このドラマはメビウスの輪のようなループになってますね。ひと回りすると知らない内に元に戻っているような。
良い意味で伏線の塊、シンクロする画像の嵐、ですから。

やはり「堤幸彦、恐るべし」ですね。

今話題の電車男、舞台版(脚本・演出 堤幸彦)がどんな物になるのか、気になります。

コメント by 光太郎 | コメント受信日時 : 2005年07月09日 21:09

>光太郎 さん

そう、メビウスの輪ですね^^

だから、見る度に感慨が変わる^^;

こういう映像構成をする 堤幸彦が 私は
大好きなんです^^

コメント by ブタネコ | コメント受信日時 : 2005年07月10日 00:39
コメントしてください




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