2005年09月01日

●がんばっていきまっしょい 中編


この記事は『がんばっていきまっしょい 前編』の続編です。



尚、この記事には映画版「がんばっていきまっしょい」に関するネタバレが含まれますので 読み進める場合は その旨を御了承願います。


私は 小学校の低学年まで 親の仕事の関係で日本国内の いろんなところを転々と暮らした。


それらの場所の中には 広島県の江田島や呉も含まれるが、当時 私は本当に幼かったので その地の記憶が全く無い。


で、札幌に居を移して以来、言える事は 身近な場所に「海が無い」という事。


今ならば 車で ちょいと小一時間走れば 石狩浜に行けるし もう少し長い時間、逆向きに走れば苫小牧にも行ける。


しかし、学生時代の私にとって「海」は 簡単に行ける場所では無かったのだ。


だから、映画「がんばっていきまっしょい」に ふんだんに登場する海辺のシーン その中でも海ならではの生活風景は ある意味、憧れが伴ってしまう。

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こういう風な「渡し船」ひとつにしても もの凄く「乗ってみたい…」と憧れてしまうモノに映ってしまうのだ。


独りで女子ボート部を起こそうとする悦子は部員の勧誘に躍起となるが、なかなか応じてくれる者がいない。


だから、あえて独りで 男子ボート部に混じって練習しようとするが… それまで男所帯だったボートハウスは どこも散らかり放題で、女子の更衣室も無い。

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物置で着替えていたら そこを偶然、ブーに開けられ着替えの途中を見られる始末。

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幼馴染みとは言え、天敵のような存在のブーに 

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悦子は基本練習のイロハを教わる。


そんな中で

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リーに話しかけられたり、

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ヒメと再会等があり…

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大会に 一回限りの出場の約束で悦子も入れて5人の頭数が揃う。


けれども、まったくのド素人の5人だから

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ドタバタの連続となるわけだが、それでも練習を続けていくうちに 

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少しづつ上達し、 

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夏の合宿も行って

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大会をむかえる。

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しかし、出来たてのホヤホヤ、それも1年生ばかりのチームでは…

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如何に奮戦しようとも

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結果は惨敗。


しかも他校の選手から「お嬢さんクルー」と馬鹿にされ、

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1回限りだったはずのメンバー達も「このままでは辞められん」と継続を誓い、彼女達は 真剣に強くなる事を望み、

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コーチ(中嶋朋子)を迎えて練習を重ねていくのだが、そんな練習の最中に 

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悦子は貧血を起こして倒れる。

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倒れた悦子を 家の近所まで自転車で送ってくれたブーに

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それまでには感じなかった異性の優しさみたいなものを感じ ちょっとグラっと乙女心が揺れたようでもあるが…

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そのブーが 新体操部のモモ子と「良い仲らしい」と聞き、また そんな現場に遭遇して

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せっかくクリーニングした 貸してもらった手袋も

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袋から出して踏みにじり、ブーの自転車のカゴに放り込んで立ち去るのは ヤキモチの表れなのだろうか…

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一瞬の恋心も かき消え、悦子はコーチに「真剣に教えてくれ」と頼み、

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季節は 高校生活二度目の春を迎える。


新入生部員も一人入り、今年こそ念願の「1勝」…

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そう思っていた矢先に 腰痛が悦子を襲う。

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治療を受けながら

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独り、リハビリに励むが、

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医師からはボート競技の継続など無理だと言われる悦子。

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絶望を胸に抱きながらボートハウスに行き

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ボート部の仲間の練習を眺めるが…

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腰の治療で復帰の目処が立たないもどかしさと、新入生が すっぽりと悦子の穴を埋めているかの如き光景を目の当たりにし、

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そのまま帰宅しようと電車を待つと たまたまホームでブーと かち合う。


ブー「おい ヤバ姉、ギックリ腰なんやて?」

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悦子「ほっとけや!」


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ブー「もう帰るんか? 新人の代わりが出来て用無しやな」


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悦子「オマエなんか モモ子とヘラヘラしとったらええんじゃ!」


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ブー「なに、言いよんぞ?」


ちょうど入ってきた電車に飛び乗り シートに座る悦子

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最初は宙の一点を見据えているが

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だんだん感情がこみ上げ…

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少しづつ、やがては大きく しゃくり上げる様に泣き出す。

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私が 映画「がんばっていきまっしょい」で 深く感動を受けたシーンのひとつが ここである。


正直言うと この一連のシーンまでの物語は 私にとっては 全て冒頭部の説明シーン同様なのであり、私に取っての本編は この一連のシーンから始まると言って良い。


松山の地元の方がどう言うかは判らないが、あどけない少女が


「ほっとけや!」


「オマエなんか モモ子とヘラヘラしとったらええんじゃ!」


と、伊予弁(?)で吠える。


まず、そこに遠く離れた蝦夷地の者にとって 何とも言えない郷愁を感じる。


同時に、間が悪いと言えば それまでだが、スポーツ選手にとって 腰や膝の故障は選手生命にとって致命傷になりかねないものであり、現実に それで悩む選手は多いのである。


この先、どうしようか… そう悩んでいるところに


「新人の代わりが出来て用無しやな」


悪気の無い なにげない一言だったとしても、大ハンマ-で殴られたぐらいの衝撃となるのだ。


だから、その後の電車の中で しゃくり上げる悦子には いち体育会系人間としては 万感こみ上げ、貰い泣きを禁じ得なかったのだ。


どんなに下手くそでも 一度は好きで始めて、それなりに真剣に参加してきた者なら、スポーツ選手は いつかは引退を考える時期が来る。


しかし、それが志半ばで それも怪我や故障によるものであれば無念の思いが強い。


ましてや、女子ボート部は悦子が作った(復活させた?)のであるのに、その本人が参加を断念しなければならない… そんな状況だからこそ 気持ちも判るし、おもいっきり泣け、俺も一緒に泣いてやる…と 私は感じたのだ。


そんな悦子が 帰宅し、母親に「ボートを辞める」と告げる。

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「そりゃ良え」と言う母親だが… 

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「情けないのぉ なんか、ノリが効かんな 近頃のシャツは…」

と言う 父親の台詞は アイロンをかけるシャツへの文句と言うよりも 悦子への言葉のようで深い。


最近の親には絶滅に近いのかもしれないが、我々の世代の親は ある種のスパルタを平気で口にしたものだ…


「一度、入部した以上は 卒業まで続ける根性を見せんか!!」


であり、


「ひとたび会社に入る以上は 最低3年は その会社で辛抱しろ!!」


と 口を揃えて言ったものだ。


現代の転職・フリーターなんか 当たり前…みたいな風潮では 聞いて貰えない言葉なんだろうけど、30年近く前の頃は それが一般的な考えだったのだ。


この映画「がんばっておきまっしょい」は 1977年が舞台の設定となっている。


であるがゆえに、この父親の一言も 私には とても懐かしい言葉なのだ。


「最近、肘が痛くて キャッチボールも ままならないんだ…」


高校生の時 そう言った私に、


「痛みを忘れるぐらい投げ込みをしろ」


私の親父は 真顔で そう言ったのだ。(ホントだよ)^^;


巨人の星の父親 星一徹は 何かあると すぐに、卓袱台を ひっくり返して天を指差し


「飛雄馬、あの巨人の星を掴むまで…」


と言っていたが、今では ひどく滑稽なネタ場面かもしれないが、昭和40年代は そんなにビックリするほど珍しい話でも無かったのだ。


「野球部長に殴られました」

「何回だ?」

「2・30発」

「学校は 2・3発だと 言ってるぞ…」


もちろん、状況によりけりではあるけれど、暴論と思われるのも承知の上で申し上げれば…


そんな話で 優勝旗返還だ…とか、出場辞退だ…なんて話を 真剣に論じ合っている事を疑問に思う私でもあるのは そういう時代に いち体育会系で過ごしてきたからかもしれない。



記述者:ブタネコ | 掲載日時:2005年09月01日 06:32 このエントリをlivedoorクリップに追加 このエントリーのlivedoorクリップ被リンク数 このエントリーを含むはてなブックマーク このエントリーのはてなブックマーク被リンク数
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コメント

ブタネコさんの時代とは多少違うのでブタネコさんと同じとは言えませんが
私もバスケ部という体育会系の部活で、学校で一、二を争う厳しさだったので分ります。
私も顧問や生活指導の先生に殴られたなぁ。
先輩に因縁つけられて体育館裏で殴られもしたなぁ。

実は私も腰を痛めてしばらく練習を休んだら
その間に自分が教えていた後輩にポジションを取られたという経験があります。
その後はふてくされて練習をサボりがちになり、
しまいには顧問と喧嘩するいという、今思えば顔から火が出るほど恥ずかしい事をしました。

今回の記事でそんな事を思い出しました。
悦子の方が大人だ・・・

コメント by うごるあ | コメント受信日時 : 2005年09月02日 04:14

★ うごるあ さん

なんか この映画を見ると

「懐かしい…」

と感じるんです いろんな事が…

コメント by ブタネコ | コメント受信日時 : 2005年09月02日 14:03
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