78年に放映された 古谷一行:金田一版「黒猫亭事件」全2話を見た。
主な出演者:古谷一行、太地喜和子、近藤洋介、田口計、幸村三千代、池田秀一など
この「黒猫亭事件」という作品は 横溝正史が戦後になって 本格的に金田一シリーズを書き始めた時期の作品で 第1作が「本陣殺人事件」、第2作が「獄門島」、そして この「黒猫亭事件」が第3作目にあたる。
ただ、この「黒猫亭事件」は 他の作と違って短編である為、お馴染みの角川文庫でも 実は「本陣殺人事件」に「車井戸はなぜ斬る」と共に納められ、書名として背表紙に描かれる事も無い為、知る人ぞ知る的作品となっているが、私に言わせれば この作は横溝先生自らが「探偵小説は何ぞや?」という部分について 作品冒頭で講義をしてくださっていると言っても過言では無いバイブルのひとつなのである。
実は「本陣殺人事件」では 推理小説マニアの一柳三郎という登場人物がおり、その三郎と金田一が 洋の東西を問わず、当時の探偵小説の実名をあげて「これが面白い」「これが奇抜だ」と 言わば横溝的「探偵小説評」を作中で述べている。
それに対して「黒猫亭事件」では「一人二役」「密室殺人」「顔のない屍体」という代表的な三つの型があり…と 分類的考察の講義を受ける事が出来る。
これは その本を読んで私は30年以上が過ぎたが 今でも充分に通用する教科書であり、その分類に関する考察が精密である事から、横溝の描くトリックと そのプロットが如何に緻密であるかを物語っているとさえ言える。
で、この「黒猫亭事件」は 冒頭で 夜間に巡回していた巡査が 不審な穴を掘る音に気付き 音のする方に行ってみたところ 寺の片隅で その寺の若い僧が穴を掘っている
なので、そっと近づいてみたところ…
折りしもその穴から 顔を潰された女の死体があらわれた。
この時、若い僧(右)を演じているのが
「池田秀一」

そう、シャアである。^^
この人は 石坂版金田一耕助の映画「獄門島」でも 若い僧の役で出演している。^^
参考記事:『獄門島』
さて、この「黒猫亭事件」は 今、御紹介した通り、「顔のない屍体」に分類される作品だが、ハッキリ言って これは分類における教科書的作品である。
そして 非常に横溝正史らしく興味深いのは
顔を潰されているがゆえに身元が確認できない死体の持ち主は誰か?という問題はもとより、この死体の側から発見された黒猫の死体、金田一は「何故、その黒猫が殺されなければならなかったのか?」そこに事件の核心を求める。
それを横溝独特の巧みな文章表現で緻密に描写をしてみせるから 実に、何とも言えないミステリーの雰囲気に包まれる。
非常に秀逸な作品なのだ。^^
ところで、78年版の映像には
太地喜和子が出演しているが…
私は この女優さんの日本髪姿を見ると
【犬神家の一族】
この表紙絵の女性とダブって映る。
『黒猫亭事件』は、推理小説としての面白さもさることながら、個人的には事件そのもの、つまり作品内容そのものよりも、あの「はしがき」に、ひじょーに衝撃を受けた作品なんであります。
横溝正史と金田一耕助の関係がつまびらかに明かされる あの「はしがき」に、個人的にひじょーに衝撃を受け、かつ、ひじょーに嬉しかったのです。
彼らのミステリ談義の内容ももちろん興味深いものでしたが、何よりあの二人が顔を合わせ、会話している!
そのことに痛く感じ入り、感激し、感動し、ああ、思えばこのとき横溝は初対面ということもあってまだ丁寧な口調だったなあ、「病院坂」のときみたく、耕ちゃんなんて気安く呼んでなかったなあと、ミーハー根性丸出しですが、そういうところが興味津々でした。
風間とのなれそめを金田一がユーモラスに語る場面もお気に入りです。
あの長広舌はいつ読んでも笑えますが、そんなお気楽な場面があっただけにラスト、金田一・危機一髪の場面描写には、ひゃあ~てな感じで、心配させてくれるわ、横溝はん、と思ったものです(笑)
猫の往生際の悪さというのはある程度知っていますが、ポー以来、猫が巧みに用いられた作品としても印象的でした。やはりミステリに猫、それも黒猫はよく似合う。
池田秀一と聞けばやはりシャア・ゴキナブル、じゃない、アズナブルですね。懐かしい画像でした(笑)
太地喜和子の髪型、確かに「犬神家」の表紙絵を連想させますね。
★ HAZUKI さん
>あの「はしがき」に、ひじょーに衝撃を受けた作品なんであります。
そうそう、そこも教科書でした^^
あぁ、そうか…
だから、HAZUKIさんは 稲垣版で 稲垣:金田一と 小日向:横溝のシーンに辛口になるんですね^^
私は 逆に小日向ファンなものだから つい好意的に受け止めてしまっているんです。^^
>風間とのなれそめを金田一がユーモラスに語る場面もお気に入りです。
そう、等々力、磯川、橘の他に 久保銀造や風間俊六というキャラも重要ですよね^^
特に風間は「悪魔が来たりて笛を吹く」でも重要ですし。
>猫の往生際の悪さというのはある程度知っていますが、ポー以来、猫が巧みに用いられた作品としても印象的でした。やはりミステリに猫、それも黒猫はよく似合う。
ブタネコもネコだけに…^^;
ええ、ミステリーに猫は似合います。
そう言えば「猫だけが知っている」仁木悦子:著を思い出しました。^^
>池田秀一
この人にも こんな時代があった…と言う事で^^
>太地喜和子の髪型、確かに「犬神家」の表紙絵を連想させますね。
犬神家の表紙絵は この人か もう1人(近々、記事で述べます)の人がモデルなんじゃないか?なんて 勝手に愚想しております。^^