1993年にフジ系で放映されたドラマ
思えば、「三谷幸喜」という脚本家の名前を ちゃんと認識し、興味を持つキッカケになったのは この「振り返れば奴がいる」からだ。
それ以前に「やっぱり猫が好き」という作品も もちろん見ていたし、とても面白かったと思っている。
けど、この作品は それとは違った意味で実に面白かった。^^
主演の「織田裕二」も それまでの爽やか路線から ひと皮もふた皮も脱皮し、「黒」のイメージを見事に演じて見せたし
対照的に「白」を演じた「石黒賢」も この作品で それまでのイメージとは違った役柄を演じて見せた。
ゆえに、その「白」と「黒」の対比は「正義」と「悪」でもあり、「理想」と「現実」の対比ともなって 物語は実に興味深いものとなり…
石黒が演じる医師は おそらく言ってる事も考え方も正しいのだと思うし、それが理想なのかもしれないと説得力を感じたが、それ以上に 「黒」であり「悪」であるはずの 織田が演じる医師の肝心な時に見せる台詞や行動の方が 私には遥かに説得力があり、現実だと感じた。
中でも 特に印象強く残っているのは
「尊厳死」についての考え方で どのように「死」を迎えるか、というか どのように「死」を受け入れるのか…
その部分を とても秀逸に描いた上で、「理想」と「現実」の狭間という 物語の根本を 三谷脚本は実に巧く描ききったと思う。
で、今にして思うのは…
この作品は とても素晴らしい出来だったと思う。
と、同時に 素晴らしかったが故に 当時の、TVドラマの制作者も、そして多くの視聴者にも ある種の固定概念が出来上がってしまい その後に良い影響よりも 悪い影響の方を強く残してしまった感が強い。
具体的に言えば
「石黒賢」=「頑固で真面目」
「西村雅彦」=「情けない奴」
「中村あずさ」=「一癖ある女」
「鹿賀丈史」=「食えない奴」…
そんな役者個々に対するイメージの固定化みたいな部分。
あえて名前を指摘はしないが、この作品で素敵な演技を見せたのに これ以降の作品ではパッとしないまま 今では姿を見かけにくくなった役者が数名いる。
逆に、この後 もっと華開いた役者も数人居る。
素晴らしい作品となった後には いつも、そんな結果に繋がっていく事が起こりやすく それはある意味、残念な事でもある。
個人的には 病院の理事長を演じた
この人の演技が 作品のクオリティを高めたと確信している。